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【洒落怖】牛の首【短編】

180: 名無しさん@おーぷん 21/07/14(水)16:30:40 ID:PteD

これは東京の友人が元新聞記者の方から聞いたお話です。

私が新聞社で働いていた時。
そうですね、今から30年以上も前の話になります。
有名な怪談である牛の首を聞いた事があるという方が居るという噂を耳にしました。
好奇心から一度本人を取材させて頂いた事があります。
関東のある小さなお社の語り部さんで当時98歳のご高齢でした。
彼女から牛の首とはどんなお話なのかとお聞きしたんです。
当時取材して分かった事は牛の首には複数の起源が存在する事。
世間一般に出回ってる話は牛の首の話を封印する為に戦後に偽作されたものである事。
これらは私自身が残した手記から分かった事で本当にあった事なのかどうか確証はありません。

それからですね。

私は奇妙な記憶障害を伴う発作を患う様になりました。
そうです。
3日で死にはしなかったもののあの牛の首の話を忘れてしまったのです。
実は語り部さんのお顔も覚えていません。
ただ、私は昔の事を・・・あの牛の首の話を何度か必死に思い出そうとしました。
数日考え込む事もあるのですが、そうしていると時折気味の悪い白昼夢に襲われたかと思うと泡を吹いて倒れるのです。
女房の話によるとこの時の私はいつも狂った牛の様な叫び声を上げているそうです。
きっとあの話を断片的にでも思い出したのでしょう。
しかし搬送先の病院で恐ろしい悪夢から目覚める頃には何を考え込んでいたのかを綺麗サッパリと忘れています。
発作の度に女房にも牛の首の話を追うのは諦めて欲しいと泣きつかれています。
しかし私にも意地があります。
ここに私が発作を起こしながら朗読した牛の首の録音テープがあります。
これを貴方に聞いて頂きたく今日持参しました。

そう言うと元記者さんは少しの間席を外した。
録音テープを再生するとそこには牛の叫び声と不快な金属音の様な不気味な絶叫が延々と録音されているだけだった。
これが人が発している声だとはニワカには信じられなかった。
以上です。

 

181: 名無しさん@おーぷん 21/07/21(水)13:34:07 ID:3K2T

「牛の首」を知っている人

ある学校の他愛も無い修学旅行。
その帰りに、夜行バスの中で先生が急に百物語を始める。
熱が入った先生はとうとう深夜まで皆と百物語を続け生徒達も真剣に聞き入っていた。
その百物語の最後の話がこの世で一番恐ろしいと言われる牛の首という怪談だった。
それを聞いていた子供たちが泣き出す。
「先生もうやめて!」
余りの恐ろしさに悲鳴を上げてバスの中はパニックに陥った。
口から泡を吹く子もいた。
そして話を聞いていた運転手までもが具合が悪くなってしまう。
誰かに話すだけで怪異を引き起こし時に死者まで出してしまう怪談。
それが牛の首です。
この怪談の作者は牛の首が多くの犠牲者を出した事に責任を感じ弔いの為に出家したらしいです。

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俄には信じ難くマクガフィンと言ってしまえはそれまでです。
しかしもしも本当にあった話だとしたら?
もしそうであれば世の中にはあの怪談「牛の首」の内容を知っている方がどこかに居ても不思議では無いでしょう。
牛の首にはこの話の他にも数種類の派生型が存在します。
私は知人の祖母様からこの牛の首と似た様な話を収蒐しました。
やはりある学校の他愛も無い修学旅行が舞台です。
しかし帰りではなくて出発時のバスからこの物語は始まります。
やはり先生が百物語を語り最後にこの世で一番恐ろしいと言われる牛の首という怪談を語るのです。

牛の首
『ある修学旅行の帰り道に生徒達を乗せたバスがどこかの牧場から逃げ出したのか一匹の牛に行く手を阻まれ立ち往生してしまう。
運転手と担任教師がバスから降りて牛を道路からどかそうとする。
すると牛は何と人面であり運転手と教師は仰天した。
「う、うわあああ!件だ!」
件は言った。

ヒャクモノガタリワホントウニナル・・・・コノバス・・・ガケカラオチル

そう予言を残した後に絶叫しながら件は霧深い崖下に飛び込み消えていった。
そして今起こったありのままの出来事を運転手と担任は生徒達に話す。
冗談と思い馬鹿にして信じない生徒達。
バスから降りて歩いて帰ろうと必死に説得する担任と運転手。
その時、後方からトラックに追突されバスは崖の下へと転落していった。』

特に生徒達はこの怪談を聞いても泣き出したり口から泡を吹く事も無かった。
「きゃーこわーい」
「やだもう先生やめてよー」
他愛の無い子供の反応だった。
それは当然の事でこの談笑百物語は担任が面白おかしく今回の修学旅行の日程をない混ぜにしたパロディの様な構成になっているからだ。
問題は修学旅行の帰りで起こった。
帰りのバスの中で一部の生徒達がパニックを起こしたのだ。
おかしい!
行きのバスの中でやった百物語と同じ事が今回の修学旅行で起こっている!
生徒達によると行きのバスの中で行った談笑百物語と同じ出来事が立て続けに起こっているというものだった。
俄にバス内はざわつき始めそう言えば自分も誰それの話した百物語と同じ経験を今回の修学旅行で体験したと言い出す生徒が続出した。
最終的に99話全て誰かが何らかの形で体験しており最後のバスから転落する件の怪談も現実のものとなるだろうとの結論だった。
怖い話でなく談笑百物語だったせいか皆違和感に気付くのが遅れたのだ。
まさかの事態に担任は狼狽して言い放つ。
まさか、そんな非科学的な事有り得ないだろう・・・偶然だ!日程を混ぜて怪談にリアリティを出したんだ!皆さん冷静になりなさい。

その時だった。

うわああああああああ

運転手が何かに向かって絶叫しブレーキを踏んだ。
それは道路に迷い込んだ一匹の牛だった。
運転手は脂汗をかいている。
彼も生徒達の怪談を聞いていたのだ。
パニックとなり生徒は次々にバスから逃げ出した。
口から泡を吐いて気絶する生徒も居た。

全ては嘘から出た真だったという事。

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