死ぬ程洒落にならない話を集めてみない? PART9
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/occult/1006021763/
深夜の病院というのは気味の悪いものです。
それは、その病院で働いてる人間にとっても例外ではありません。
私は当時医療事務の仕事をしており、月に2,3は夜勤の当番になるのです
が、その日は特に背筋の寒くなるような冷気を感じ、たまった書類に眼を通
す事で気を紛らせていました。そのときです。
トントン。
誰かがドアをノックしています。
「はい、どうぞ」
しかし、誰も入ってきません。不信に思って私の方から部屋のドアを開けま
した。しかし・・・そこには誰もいませんでした。
その時は深く考えませんでした。守衛さんのイタズラか、入院患者が間違っ
てノックしてしまったかのどちらかだと思ったのです。
病院の夜は早く、9時になると一斉に電気を消すのです。その為寝付けない
患者が夜中に起き出して、病院内を探索する事は稀にありました。
気を取り直して、又、先程のように机に向かい仕事を始めました。10分
程たった頃でしょうか・・・
続く
続き
トントン
また、ドアをノックする音が聞こえました。
私は正体を見極めてやろうと全力でドアまで走り、凄い勢いでドアを開けま
した。しかし・・・やはりそこには、誰も居なかったのです。
イタズラにしては悪質です。私は腹が立ってきました。2度ある事は3度ある
だろうと思い、今度は机に向かわず、息を殺してドアの前に立って、ずっと
ノックされるのを待っていました。
トン
ノックと同時にドアを開けました。そこで私が見たものは・・・
霊安室に続く長い廊下。
それだけです。
ノックと同時にドアを開けたにも拘らず、そこには誰も居ないのです。
足元を白い光が不気味に照らしていました。
体中の力が抜け、その場に座り込んでしまいました。奥歯がガタガタいって、
涙がとめどなく流れました。そうして、どれ程の時間が経ったでしょうか?
続く
続き
トントン
「・・・誰?」
何とか声を出して、それだけは尋ねましたが、返事は返ってきませんでした。
「あなたは、もう死んでるのね?」
トントン
返事がありました。私は、恐ろしさで気を失いそうりながらも、、もし何か
言い残したい事があって、死んでも死にきれずに居るのなら、それを聞いて
成仏させてあげるのは私の役目だと思いました。
「貴方は、この病院で亡くなった人なの?」
トントン
「心残りがあるのね?」
トントン
ふと私は、その前日に心臓病で亡くなった若い女性が、まだ霊安室に眠った
ままである事を思い出し、ノックの主はひょっとしたら彼女ではないかと
思いました。
続き
続き
「貴方は、女の人?」
・・・・
返事がありません。
「それでは、男性なの?」
・・・・
やはり、返事がありません。
ドアの向こうで、何か考えているような、戸惑っているような気配が
伝わってきます。そこで私は、ある事を思いつきました。
「ひょっとして、そこには何人か居るのね?」
トントン
「いったい、何人いるのかしら?」
・・・。
少しの沈黙がありました。そして・・・
トントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントン・・・
その音は止む事無く鳴り続けたのです。