死ぬ程洒落にならない話を集めてみない Part14
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-霊感-
神社にはえている木の葉で瞼をこすると、
霊感がある人には幽霊が見える。
そんな噂が学校で流行った。
僕等の学校はすぐ隣が神社だったので、
放課後、神社に集まり、中でも「しめ縄」で、
ぐるぐる巻きになっている木によじ登って、
早速試してみた。
「どうだ、見えるか」「何も見えない」
「おっかしいな、霊感ないのかな」
「ばか、幽霊が居ないとみえないんだよ」
なんだかんだで、結局なにも起こらず終い。
○ちゃん家でファミコンやろ、
なんてことになったとき、×村君が半べそで言った。
「今降りちゃ、駄目だよ!!」
「なんだよ」
「僕達、今、囲まれてる・・・」
-こっくりさん 2-
ある日の休み時間、
「こっくりさん、こっくりさん……」
誰からともなく、教室の片隅から声があがった。
今、流行ってる遊び、こっくりさんだ。
なぜかこっくりさんの周りには女子のの輪ができている。
「こっくりさん、こっくりさん……」
僕は、この遊びが好きではなかった。
放課後、休み時間と同じように。
示し合わせたようにでもなく、また、こっくりさんが始まった。
「こっくりさん、こっくりさん……」
女子はそれぞれ何人かのグループに分かれて、
同じようにこっくりさんをやっている。
僕は同じようにこっくりさんをしない数人と、
校庭へ出て行った。
夕方、塾や習い事で、みんなは学校を出て行った。
帰るつもりだったけど、僕は忘れ物を取りに、教室に戻った。
そこでは、まだいくつかのグループが輪になってこっくりさんをやっていた。
僕の机も使われている。
「こっくりさん、こっくりさん……」
「ノート取るんだ。ちょっと、どいてよ」
中断されたせいか、女子達はむすっと僕をにらんだが、
僕は黙ってノートを取ると、そのまま教室を出て行った。
去り際に、背後から声が聞こえた。
「こっくりさん、こっくりさん。あいつが死ぬのはいつですか?」
むっ! っときて僕がドア越しに振り向くと、
「こっくりさん、こっくりさん……」
……そう呟きながら、教室中が同じ目で僕を見ていた。
-保健室-
保健室のベッドで寝るのは初めてだった。
こんなに熱が出たのも初めてだ。
風邪をひいてるからだけじゃない。隣には○木さんがいた。
病弱なのは聞いてたけど、こんなところで会うなんて夢にも思わなかった。
二人とも熱でだるかったけど、ただ横になってるなんて
つまらなかったから、いろんな話をした。
こんな隣同士のベットで寝てるなんて、結婚したみたいだ。
なんて考えて、ボクはどきどきしていた。
○木さんは寝ちゃったけど、ボクはとても眠れやしなかった。
「先生ね、ちょっと、行かなくちゃいけないんだけど、楽にしててね」
誰かが呼びにきて、先生はどこかへ行った。
突然二人きりにされて、ボクはますます眠れなくなってきた。
ちらちらと、○木さんを盗み見ていると、カーテンの向こうで声がした。
「・・・・・・に・・・い・・・だろ」
よく聞こえないけど、知ってる声みたいだ。
ボクは△ちゃんだったらまずいと思って、薄目を開けて、
寝たふりをした。△ちゃんが○木さんを好きなのはみんな知ってる。
こんなところを見られたら、後でなんて言われるか判らない。
「・・こ・・・・る・・」
なにかつぶやきながら、声が近づいてくる。
「だ・・か・・こに・・るだろ」
カーテンは開いた音はしないのに、いつの間にか声はすぐそばにまで来てる。
薄目を開けてるのに、誰も見えない。
「・・こ・・・・・・よ」
嘘寝がばれるから、絶対に動いちゃいけないと思って、ボクは目を閉じた。
今は、もう、すぐそばで声がしていた。
「だれかそこにいるだろ」
絶対におかしかった。絶対。足音もしないし、誰も見えないのに。
「だれかそこにいるだろ」
「・・こ・・・・るよ」
声はボクの周りをうろうろしていた。
がんばって薄目で見てみたら、カーテンは人影で囲まれている。
「だれかそこにいるだろ」
見つかっちゃだめだ!!
そう思ったけど、突然○木さんのことが頭に浮かんできた。
そうだ、○木さん! ○木さんは大丈夫!?
ボクは寝返りのふりで、○木さんの方を薄目で見た。
○木さんは飛び上がって、ギィッ、と、目を見開き、ボクを指差して、
信じられないような低い声で言った。
「そこにいるよ」