死ぬ程洒落にならない話を集めてみない Part14
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駐在所のコピペ
私はある離島の駐在所に、勤務しております。
この駐在所に来る前は、派出所に勤務しておりました。
田舎に住む事になりましたが、私は「不運だった」と思っていません。
「職住接近だし、3直交代の不規則な生活をしなくて済む」と、考えたからです。
しかし、この駐在所には問題がありました。
首が無い警官の幽霊が出るのです。
私も最初は驚きました。
でもその幽霊は、それほど危険な存在に思えません。
私には無関心のようですし・・・。
だから私は、段々と幽霊が現れる生活に、慣れていったのです。
しかし、私は幽霊の正体が気になっていました。
それで私は寄り合いの度に、それとなく駐在所の幽霊について聞き出そうとしたのです。
ところが住民達は、いつも「気にしない方がいいよ」と話をはぐらかし、私に何も教えてくれません。
その度に私は、「よほど言いたくない事なのかも・・・」と思い、何も聞けませんでした。
住民との関係を、悪くしたくありませんでしたから・・・。
そんなある日、私はその幽霊に、ついつい話しかけてしまったのです。
「あんた、いい男だね」と。
別に、この言葉に深い意味はありません。
ただ、いつも現れる幽霊とコミュニケーションを取ろうとし、ちょっとおだてただけです。
しかし私の言葉を聞き、彼は恐ろしい見幕でにじり寄ってきました。
「俺の顔が見えるのか」と・・・。
あんなに恐ろしい威圧感を受けたのは、初めてです。
私は恐ろしさのあまり、すぐにその場から逃げ出しました。
そして村長の家へ行き、その出来事を話したのです。
その時の村長は、険しい表情を浮かべ、頑なに口をつぐんでいました。
それでも私は、駐在所の幽霊について、強い口調で尋ねたのです。
すると村長は、古ぼけた封筒を私に手渡しながら、こう言いました。
「この封筒の中を見たら、あんたは間違いなく死ぬ」
私が封筒を手に取り、中を確認しようとしたその時です。
突然に玄関のドアを、誰かが叩く音がしました。
私と村長が玄関まで行くと、ドア開かれておりましたが誰も居ません。
「もしかしたら、あの幽霊なのか?」
「あの幽霊が居る気配がするし・・・」
「でも、どこにも姿が見えないな」
私がそう思いながら、恐る恐る辺りを見回していた時です。
突如、私の背中に悪寒が走ったかと思うと、そのまま私は気を失ってしまいました。
それからどの位の時間が経ったのでしょうか。
意識が戻った時は、何と私の体が金縛り状態になっていたのです。
そして「見たな、見たな・・・」と、あの幽霊が私に呟き続けていました。
それで、驚いた私は思わず心の中で叫んだのです。
「一体お前は、何をしたいんだ!」
「俺をどうする気だ!」
その時、幽霊はこう答えました。
「一人になりたい」
「幸せに辿り着くまで、考え続けたいんだ」
彼はそう言い残し、自分の家へ帰ったようでした。
あの駐在所に・・・。
その後、私は別の建物を駐在所代わりにし出したのです。
そんな私に、村長は駐在所の幽霊について、こう教えてくれました。
「あのお巡りさんは、駐在所で火の不始末から、火事を起こしたんじゃ」
「火はすぐに消えたが、お巡りさんは大火傷をした」
「それ以来あのお巡りさんは、人を避けるようになってな」
「火傷のせいで、えらく人相が悪くなったから、しょうがないじゃろう」
「だが島のみんなは、そんな駐在さんはいらんと怒ってな」
「駐在さんは、みんなの冷たい仕打ちのせいか、自殺したんじゃ」
「駐在さんの奥さんも、その後、ここを去っていった」
「あの封筒にはな」
「駐在さんの、顔写真が入っているんじゃよ」
「もうこれ以上は、何も知らん方がいい」
私は今でも、「彼が早く幸せに辿り着くよう」祈っています。