洒落怖・短編

【洒落怖】蒸しタオル【短編】

死ぬ程洒落にならない話を集めてみない? Part16
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850: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/16 18:14

数年前の冬の出来事です。

当時学生で一人暮らしをしていた俺は、大学が冬休みとなり実家に帰省しました。
自分の部屋に荷物を置きに行ったのですが、その時、隣にある姉の部屋の入り口に、
盛り塩があることに気付きました。不思議に思った俺は、その日の遅く、勤務先で
ある病院から帰宅した姉に、なぜ盛り塩などしているのかを尋ねました。
「やっぱり気になるよねー」と言いながら、姉は自室に俺を招き入れ、その理由を
話し始めました。

 

851: 850 02/08/16 18:15
それはその日から6日前の夜中だったそうです。眠っていた姉は、なんとなく息
苦しさを感じ、目を覚ましました。すると、暖かい蒸しタオルの用な物が、なぜか
姉の首に押し付けられていました。寝ぼけていた姉は、「暖かくて気持ちいい」と
最初は思ったそうです。
しかし、意識がはっきりしてくると、そのタオルは人の手によって自分の首に押し
付けられている事に気付きました。押し付けているのは見ず知らずの中年の女性で
した。

 

852: 850 02/08/16 18:16

「寒いでしょう」

そう言いながら、タオルをさらに首に押し付けてきたそうです。しかも、その力は
徐々に強くなっていきました。その時、姉は自分が金縛り状態にある事にも気付き
ました。
「苦しい、、このままでは、、何とかしないと、、」必死に体を動かそう、声を出
そうとした姉は、唯一そこだけは動かすことが出来た目で周りを見回しました。
すると、苦しむ姉が寝ているベッドの足もと付近を、3、4歳ぐらいの子供がパタ
パタと走り回っていたそうです。
それを見た姉は、「この子供はもしかすると、この女性の子かもしれない」と思い、
ダメもとというか、やけくそというか、必死の思いで「やめて下さい!やめないと
その子がどうなっても知らないわよ!」と、その女性に対して強く念じました。
すると、その女性も、子供も、すうーっと消えていき、タオルを押し付けられてい
た首も解放されたそうです。

 

853: 850 02/08/16 18:17
「それが3日間続いたのよ。」少し疲れたような表情で姉は言いました。聞いてい
る俺は、ここがその現場で、つい数日前の事だと思うと、冬の寒さとは別の悪寒が、
背中から首筋へと走りました。姉の話はさらに続きます。

 

854: 850 02/08/16 18:18
4日目の朝、姉は勤務先の病院に寝不足のまま出勤しました。姉の様子がおかし
い事に気付いた同僚が、「具合悪そうね。どうしたの?」と声をかけてきます。
姉は不可思議なこの「蒸しタオル」の話を同僚に話しました。それが現在進行形で
あるという事も。話を聞いたその同僚は、「この病院の別の病棟の職員で、その手
の事に強い人を知っている。」とのことで、その人、Aさんとします、を紹介して
くれました。姉はAさんにも一部始終を話しました。
話を聞いたAさんは、「あなたが、その、タオルを押し付けてくる女性にも、パタ
パタ走り回っている子供にも見覚えが無いのだとしたら、あなたの部屋がたまたま
霊の通り道になってしまったのかもしれない。だとすると、部屋に盛り塩をすれば、
それで出てこなくなるかもしれないわよ。」とのアドバイスをくれたそうです。

 

856: 850 02/08/16 18:20

その日帰宅した姉は、Aさんに言われた通りに盛り塩をしてから床につきました。
盛り塩の効果はテキメンでした。姉は朝まで何にも邪魔されず、4日ぶりに熟睡で
きたそうです。その日スッキリした気分で出勤した姉は、早速お礼と報告をするた
めに、Aさんを訪ねました。
「おかげさまで、あの女性も、子供も、誰も来ませんでした。ありがとうございま
した。」そう報告する姉にAさんは、苦笑いをしながらこう答えました。

「あたしの所へ来たわよ」

姉に盛り塩をさせたAさんの事を恨みに思い、「余計な事を教えやがって」という
ことなのか、「蒸しタオル」の女性はAさんの家に現れたそうです。ただ、Aさん
はその手のものを、ある程度寄せつけない力を持っているとの事で、家の中までは
入ってこられなかったそうです。ただ、一晩中「蒸しタオル」をAさんの家の壁や
窓に、

「びちゃっ べちゃっ」

と投げ付けていたそうです。Aさんは夜明け前、やっとその女性があきらめて消え
るまでは寝るに寝られず、ほぼ徹夜になってしまったとの事でした。
「とにかく、あなたの所にはもう行かないと思うわ。」とAさんは言ってくれたそ
うです。

 

858: 850 02/08/16 18:21

これが盛り塩の理由でした。姉の部屋が霊の通り道になってしまったのなら、隣に
ある俺の部屋も、、、話を聞き終えた俺はすぐに、塩を取るためにキッチンへと向
かいました。

その夜俺は、、、と言いたい所ですが、俺には何も起きませんでした。しかし、
何も無かったとは言え、恐怖の一夜だった事は間違いありません。

長文スマソ