死ぬ程洒落にならない話を集めてみない? Part16
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数年前の冬の出来事です。
当時学生で一人暮らしをしていた俺は、大学が冬休みとなり実家に帰省しました。
自分の部屋に荷物を置きに行ったのですが、その時、隣にある姉の部屋の入り口に、
盛り塩があることに気付きました。不思議に思った俺は、その日の遅く、勤務先で
ある病院から帰宅した姉に、なぜ盛り塩などしているのかを尋ねました。
「やっぱり気になるよねー」と言いながら、姉は自室に俺を招き入れ、その理由を
話し始めました。
苦しさを感じ、目を覚ましました。すると、暖かい蒸しタオルの用な物が、なぜか
姉の首に押し付けられていました。寝ぼけていた姉は、「暖かくて気持ちいい」と
最初は思ったそうです。
しかし、意識がはっきりしてくると、そのタオルは人の手によって自分の首に押し
付けられている事に気付きました。押し付けているのは見ず知らずの中年の女性で
した。
「寒いでしょう」
そう言いながら、タオルをさらに首に押し付けてきたそうです。しかも、その力は
徐々に強くなっていきました。その時、姉は自分が金縛り状態にある事にも気付き
ました。
「苦しい、、このままでは、、何とかしないと、、」必死に体を動かそう、声を出
そうとした姉は、唯一そこだけは動かすことが出来た目で周りを見回しました。
すると、苦しむ姉が寝ているベッドの足もと付近を、3、4歳ぐらいの子供がパタ
パタと走り回っていたそうです。
それを見た姉は、「この子供はもしかすると、この女性の子かもしれない」と思い、
ダメもとというか、やけくそというか、必死の思いで「やめて下さい!やめないと
その子がどうなっても知らないわよ!」と、その女性に対して強く念じました。
すると、その女性も、子供も、すうーっと消えていき、タオルを押し付けられてい
た首も解放されたそうです。
る俺は、ここがその現場で、つい数日前の事だと思うと、冬の寒さとは別の悪寒が、
背中から首筋へと走りました。姉の話はさらに続きます。
い事に気付いた同僚が、「具合悪そうね。どうしたの?」と声をかけてきます。
姉は不可思議なこの「蒸しタオル」の話を同僚に話しました。それが現在進行形で
あるという事も。話を聞いたその同僚は、「この病院の別の病棟の職員で、その手
の事に強い人を知っている。」とのことで、その人、Aさんとします、を紹介して
くれました。姉はAさんにも一部始終を話しました。
話を聞いたAさんは、「あなたが、その、タオルを押し付けてくる女性にも、パタ
パタ走り回っている子供にも見覚えが無いのだとしたら、あなたの部屋がたまたま
霊の通り道になってしまったのかもしれない。だとすると、部屋に盛り塩をすれば、
それで出てこなくなるかもしれないわよ。」とのアドバイスをくれたそうです。
その日帰宅した姉は、Aさんに言われた通りに盛り塩をしてから床につきました。
盛り塩の効果はテキメンでした。姉は朝まで何にも邪魔されず、4日ぶりに熟睡で
きたそうです。その日スッキリした気分で出勤した姉は、早速お礼と報告をするた
めに、Aさんを訪ねました。
「おかげさまで、あの女性も、子供も、誰も来ませんでした。ありがとうございま
した。」そう報告する姉にAさんは、苦笑いをしながらこう答えました。
「あたしの所へ来たわよ」
姉に盛り塩をさせたAさんの事を恨みに思い、「余計な事を教えやがって」という
ことなのか、「蒸しタオル」の女性はAさんの家に現れたそうです。ただ、Aさん
はその手のものを、ある程度寄せつけない力を持っているとの事で、家の中までは
入ってこられなかったそうです。ただ、一晩中「蒸しタオル」をAさんの家の壁や
窓に、
「びちゃっ べちゃっ」
と投げ付けていたそうです。Aさんは夜明け前、やっとその女性があきらめて消え
るまでは寝るに寝られず、ほぼ徹夜になってしまったとの事でした。
「とにかく、あなたの所にはもう行かないと思うわ。」とAさんは言ってくれたそ
うです。
これが盛り塩の理由でした。姉の部屋が霊の通り道になってしまったのなら、隣に
ある俺の部屋も、、、話を聞き終えた俺はすぐに、塩を取るためにキッチンへと向
かいました。
その夜俺は、、、と言いたい所ですが、俺には何も起きませんでした。しかし、
何も無かったとは言え、恐怖の一夜だった事は間違いありません。
長文スマソ