中学生の頃だから、今から20年程前。
家族旅行中、真夏の名古屋で渋滞にハマりました。
気温は35度を超えていて、車はノロノロだからクーラーもきかない。
家族5人汗を流しながら、ぐったりしてたな。
私は運転席の後ろに座って、窓の外を見ていました。
しばらく停車していた渋滞の列が動き出した時に、
すぐ脇の中央分離帯に立っていた男と、窓越しに擦れ違いました。
分離帯には草が繁っていて、その端に立つ男は俯いていたので、
顔は長めの髪に隠れて見えませんでした。
男は白いスラックスをはいて、このクソ暑いのに、
真っ赤なカーデガンを着ていました。
厨房ながらもヘンだなと思った私は、擦れ違ってすぐに、
車のリアウィンドウ越しに振り返ってみました。
見えたのは後ろに連なる車の列と、無人の中央分離帯だけ。
「今、ヘンな人立ってたよね?」
家族に訊いても、ノーリアクション。
暑さでぼんやりしていた他の家族はともかく、運転していた父は
目にしているはずなのに、あんなに目立つ男を見ていないなんて、、、
ああ、他の人には見えなかったのだなと、
その時、妙に納得したのを覚えています。
思えばアレは本当に赤いカーデガンだったのかなと、今でも時々考えます。
目にしたのは一瞬だったのに、
真っ赤な色がとても鮮明に脳裏に焼き付いているので。
洒落にならないくらい恐い話を集めてみない?Part36
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