死ぬ程洒落にならない話を集めてみない? Part16
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現在、私の実家は改築工事の為に解体されている。
それは今は亡き祖父母の家で、今までにも何度も
増改築を繰り返して来たが土台の痛みが酷く、
去年祖母が他界した事もあって、
ついに全面的な改修に踏み切ったのである。
話は解体工事の当日に遡る。
母は、大工に飲み物を差し入れたりしつつ、工事を眺めていた。
或る時、サイレンを鳴らし、一台のパトカーが表通りを走って来た。
続き、救急車、消防車のサイレンも聞こえ始める。
「何か事故でも起こったのだろうか?」
野次馬根性丸出しで表通りに出た母。
だが、何とそのサイレンは全て母の前で止まったのである。
ドヤドヤと駆け降りて来た彼等は母に尋ねた。
「Yさんのお宅はどちらですか!?」
それは、既に13回忌を迎えた祖父の名前だった。
聞くに、
『老人用の携帯型緊急用アラームが鳴った為、
急いで駆け付けた』
との事。
しかも一切の状況が掴めない為、
警察、救急、消防全てがやって来たと言うのだ。
呆気に取られた母だったが、
既に祖父母が他界している事、
そういった発信機は家に全く無かった事、
第一、家が無い事を説明し、帰ってもらったそうだ。
だが、駆け付けた救急隊員等は、
「絶対にここからの通報で間違っていない筈だが…」
と、最後まで納得していなかったという。
『解体工事中、電話線に妙なパルスが入り込んでしまい、
偶然緊急通報として受け取られたのではないか』
この話を聞いて、そう言った者もいた。
だが、我々の見解はただ一つ。
『そんな、あの世からアラーム鳴らさんでも…』