洒落怖・短編

【洒落怖】高沢くん【短編】

死ぬ程洒落にならない話を集めてみない? Part17
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560: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 02:13
君って幽霊とか見える人?高沢君は何の前触れもなくそう言った。
僕らはバイトの帰り、近くの居酒屋で飲んでいるうちに終電を逃してしまって
タクシーで帰る金もなかったからバイト先のレストランの休憩室に泊まることにした。
その店は11時で営業が終了していて店内にいるのは高沢君と僕だけだった。
はじめは店にあったビールを飲みながら女の話とか音楽の話をしていたが
そんな話は居酒屋で何時間も話した後だったからお互いすぐに飽きてきた。
高沢君も同じ考えだったと見えて深夜にふさわしい怪談ネタを振ってきたんだ。

 

568: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 02:45
見たことないね、興味はあるけど。僕がそう答えると、高沢君は寝転んでいた
体を起こして僕に少し近づいてきた。そしてなぜかそのときの高沢君の顔には
違和感を感じた。福岡で数年前に起こった殺人事件の話って知ってる?
知らないけど、殺人事件なんていつでもどこでも起こってるじゃん、僕はそう思った。
普通の殺人事件じゃなくて、この話をすると被害者の幽霊が出るんだってさ!
俺は今までに2回この幽霊を見たよ、お前さえよかったら今日が三回目になるわけだ!
高沢君は酔っているのだろう、僕はまだこのときそう考えられるだけの余裕があった。
ホントだから!僕の顔を読んで高沢君は少し剥きになって言った。

 

571: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 02:59
でもやっぱよそう。高沢君は再び寝転んで2,3回頭を振った。俺少し酔ってるな
あんなもん2回も見れば十分だ。僕はその殺人事件に俄然興味を持った。僕も少し
酔っていた。部屋の電気を消し、高沢君に話の続きを促した。ああ、まあいいけど
やばくなったら話は途中で止めるよ。やばくなるって?だから幽霊が出そうになったら。
その話をするだけで出るんだったらもうヤバイんじゃない?いや、まだ大丈夫。あるキーワード
があってそいつを話すと出るんだ。だけど、途中まで話すだけで寄ってくるんだ。
見えなくても部屋の中にいるってことははっきりとわかる。注意しろよ、俺がはじめてこの
話を聞いたとき20人くらいいたんだけど半分くらいの奴は実際に幽霊を見たんだ。
なかでも酷かった連中はショックで気絶したり口から泡吹いてたんだぜ!

 

572: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 03:11
571続き
まじで!そんなにすごいの?
この話は福岡であった殺人事件で新聞にも出てた。ある一人暮らしの女の部屋に
変質者が夜中に忍び込んでレイプしたんだ。で、そのあと殺したんだってさ。
死体が発見されるまでにしばらく時間がかかった。普通なら2,3日音沙汰がなきゃ
家族とか友達とかも心配して家まで来るんだろろうけど、この子の場合そうじゃなかった。
だれも気にかけなかったんだ。第一発見者はそのアパートの不動産会社の奴。
家賃の督促できたんだろうなあ。

 

574: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 03:25
死体は酷いありさまだったよ。夏じゃなかったけど何週間も放置されてたんだ、
想像つくだろ?おっかねえよなあ。処理した人らも大変だったと思うぜ。
こわいよなあ。それからそのアパートでは幽霊が出るってさ。

 

575: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 03:35
574続き
それだけ?僕はもっと長い話を期待していたが高沢君は急に話をやめた。
来てるぞ、この部屋に。前のときと同じ感じだ。
僕はそれまでなにも感じなかったが急に自分の後ろのほうが気になってきた。
だけど、ここで後ろを振り返ったり電気をつけたりすればあとで何を言われるか
しれない。高沢君の性格からすると僕がびびっていたことをほかのバイト仲間にも
膨張して話しかねなかった。僕は自分でも心拍音が聞こえてきそうなくらい
ドキドキしていたが、高沢君には気づかれていないみたいだった。

 

632: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 22:55

575続き

僕も高沢君も一言もしゃべらなかった。僕は部屋の中で感じ出す違和感に耐え切れなくなり
口を開いた、、、言葉が出なかった。しばらく黙ったままお互いを凝視した。
キーワードは、俺は言わない、お前が当てろ。高沢君は言った。
それは六文字でその女の死体を形容する言葉だ。しばらく放置された死体はどうなる?
それとある魚の名前を組み合わせるんだ。

 

633: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/08/23 23:04

632続き

その言葉は実際女の死体が発見されたときに新聞に書かれていたんだ。
不気味だよな、でも的を得てる。
始め後ろに感じていた違和感は部屋全体に広がり、僕は全身が何かに包まれているのを
感じた。現実的な恐怖だった。何かが違う、いつもと違う。
僕は休憩室から逃げ出したかった。だけど出来なかった。この部屋を出て暗い廊下に出た途端
そこに何かが居たら?僕は見たこともない幽霊と女が死んでいたアパートの情景が頭の中に浮かんできて
目を閉じた。まぶたの裏には女の顔が見えた。

 

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