洒落怖・短編

【洒落怖】みるなといったのに【短編】

洒落にならないくらい恐い話を集めてみない?Part19
http://curry.2ch.net/test/read.cgi/occult/1031519880/

243: タンク 02/09/14 06:05

 この話は友人から聴いたのですが、それがどんなものだったのかを想像すると後からじわじわと恐怖を感じました。

その話はこんな話です。
あるタクシードライバーが夜中、通りには誰もいないような道を走行していると、前方に女性らしき人物がこちらにむかって手を上げているのを見ました。
「客かな?」
と思ったそのドライバーは女性の前に車を停め、後ろのドアを開き女性を車に乗せました。
「お客さんどこまで行きましょうか?」
と尋ねると、か細い声で
「○○○あたりまでよろしくお願いします」
という返事が女性から返ってきました。
その時ドライバーはチラっと、鏡を見て女性の姿を確認しました。するとその女性は、長い髪の毛で自分の顔をちょうど首をかたむけることで覆い隠すようにして顔を隠しているのです。ドライバーがその様子にすこし不気味さを感じていると、
「私の顔は絶対に見ないでください」
と、か細い声で女性がつぶやきました。
「・・・わかりました」
ドライバーはその不気味な感じに早く仕事を終わりにしたいと感じ、足早に車を走らせ始めました。
タクシーが走り始めてしばらくたち、女性に告げられた場所まで来ると、そこは周りになにもないポツンと一軒の家のみが建っているような物寂しい場所に出ました。
「ドライバーさん、ここでいいです」
女性が呟きました。
「ドライバーさん」
再び、女性が口を開きました。
「私がタクシーから出ても絶対に後ろを見ないでください」
か細い声でそういう女性にドライバーは
「わかりました」
と答えるしかありませんでした。
(次につづく)

 

244: タンク 02/09/14 06:06

 やがて後ろでドアが開け放たれる音がしました。後ろをふりかえっちゃいけないと言われたけれど・・・その時、ドライバーはちらっと後ろをふりかえり、女性に見つからぬようその女性の姿を見ようとしました。
すると女性が家の中に入っていく後ろ姿が見えました。
そのまましばらく家の様子を見ていると、部屋に小さな明かりがつきました。小さな赤みがかった色をしたふたつの明かりです。ドライバーはしばらくその明かりを眺めていましたが、
「べつになにもないじゃないか」
と思いなおし、仲間の待つタクシー会社のオフィスに戻ることにしました。
オフィスに戻ると同僚がひとりおり、ドライバーは「実はこんな女性をさっき乗せたんだよ」とその話を笑いながら同僚にしました。
すると同僚は、
「おまえはその明かりを見てたのか?」
とドライバーに尋ねました。
「ええ、まあしばらくは見てましたね。けっきょくなにもなかったんですけど・・・」
そう答えると同僚は、口に手をあてながらこうドライバーに告げました。
「おまえ、ちがうぞそれは。それはな、『赤い眼の女』なんだよ」
だから、と同僚はこう言いました。
「おまえは女とずっと眼が合ってたんだよ」

「 ミ ル ナ ト イ ッ タ ノ ニ 」

 

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