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つい最近、母から聞いた話です。
母は芸能人がバラエティ番組かなにかで話しているのを聞いたそうです。
昔、ある大学での話。
私の友人が、ある日突然、家から出てこなくなった。
研究室にもサークルにも飲み仲間にも連絡せず、家に引きこもっているようだった。
その学生の友人たち(私たち)は、
「あいつ何やってるんだろう」
と言って、彼の住むアパートにみんなで迎えにいった。
アパートに行ってみると、彼はガリガリにやせ細っていたが、他におかしな様子はない。
「よう」などと挨拶してくる。
私は、
「おまえどうしたんだよ。最近出てこないじゃん」
と問い詰めてみたが、
「いやー……出られないんだよ」
などと言う。
「なんでだよ。そろそろ出席しないと単位ヤバイだろ?」
「そんなにやせ細って、ろくなもん食べてないな。メシ食いにいこうぜ」
などと誘っても、
「いやー、出られないんだよ」
といって、出てこようとしない。
その日は諦めて、そこでみんな帰った。
翌日、私はひとりで彼の家をたずねた。
彼は昨日よりさらにやせ細っていた。
出かけようと誘っても、
「いやー、出られないんだよ」
と昨日とまったく同じ調子だった。
「なんで出られないんだよ」
と私が聞くと、
「あいつが、『出て行っちゃだめ』っていうんだよ」
などという。
「あいつ?」
その学生はひとり暮らしだし、彼女もいるという話を聞いたことがない。
この野郎、彼女でもできたのか?と思って、私はアパートの中に通してもらった。
部屋中を探したが、本人以外誰もいないし、もうひとり人がいた形跡もない。
私は彼に、
「誰もいないじゃないか。ほら、メシ食いに行こう」
と言って、無理矢理彼を部屋の外に連れ出そうとした。
彼はしぶしぶ部屋の外に出た。
彼を送り出したあと、私もそれに続いて玄関から外へ出ようとした。
そのとき、ふと気になって、ちらっと横を見た。
すると、女と目が合った。
その女は、玄関の壁と下駄箱のあいだの1cmの隙間にいた。
こうやって文章にすると全然怖くないかも……。
この話を聞いた直後は、「隙間」を覗き込むたびに、何かいるんじゃないかとドキドキでした。