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【洒落怖】ためしに手近にあったスイッチを一つだけ上に上げてみた。

351: 本当にあった怖い名無し 2019/11/05(火) 07:25:24.34 ID:1I2udPzu0
じゃあこれがいいかな

 

352: 本当にあった怖い名無し 2019/11/05(火) 07:26:46.73 ID:1I2udPzu0

これ、俺が小学校6年生のときの話だよ。夏休みの終わり頃のことだった。
当時俺は田舎に住んでて、家は農家だったから、親が金を持ってなくて、
ゲームとか、あんまり買ってもらえなかったんだよ。
まあでも、別に不満じゃなかった。外で遊ぶほうが好きだったからな。
学校のプールも開放されてたし、川や沼で魚釣りもした。
けど、やっぱり夏休みと言えば虫捕りなんだよ。
2日おきくらいに山に出かけて、大きめの虫カゴ3つにびっちり
虫を飼ってたんだ。あんまり捕れるんで、カブトなんかは貴重じゃない。
クワガタの大きなやつだけ残して、あとは捕ってもすぐに逃してたな。
うーん、今はどうなんだろうな。長い間、あの田舎の町には戻ってないけど、
自然破壊で昔みたく捕れなくなくなってるのかもしれんね。

でな、その日は、家で昼飯を食ってすぐ、捕虫網と虫カゴを持って、
裏の山に登ったんだ。まあ、山といっても、せいぜい300mくらいか。
小学生の足でも1時間かからずに頂上まで着く。そんな山がいくつも
横に並んでたんだ。山に入って、前に来たとき、
木に焼酎を塗ったところに行ってみた。これでたいがい何匹かクワガタが
ついてるんだが、その日はカブトのメスが2匹いただけ。
他の場所も同じようなもんだった。ああ、つまんねえな、って思って、
少し冒険してみることにした。横につながってる、
別の山に入ってみるつもりだった。といっても、夏の盛りだから、
草木が茂ってて、道のないところには入れない。それで、
いったん頂上まで登って、そっから下を見下ろしてみたんだ。

 

353: 本当にあった怖い名無し 2019/11/05(火) 07:27:47.49 ID:1I2udPzu0

そしたら、右手下のほうに、ごくごく細い道が見えた。
これは、木を伐る人がこさえた道だろうと思って、そこまで下りて、
隣の山に入ってたんだよ。で、その道はあんまり使われてないらしくて、
子どもの俺がやっと通れるくらいの幅しかなかった。両脇は深い茂みで、
なんだか心細くなってきて、もう少し進んで、広場みたいなとこに出なかったら
戻ろうと思ってたのよ。それが、ふっと目の前が開けて、円形の草地に出たんだ。
不思議な場所でな、そこだけ草を刈って芝を植えたようになってた。
で、端のほうに岩でできた像みたいなのが一つあった。近寄ってみると、
人間を掘ったもんじゃない。どう言えばいいかなあ。
あ、奈良のほうに猿石ってあるだろ。あれに似てたような気がする。
その前で、像をしげしげと眺め、後ろに回ろうとしたとき、

地面がぼこっと陥没したんだよ。気がついたら、回りが暗くなって、
俺はズザザザと斜面を滑り落ちてた。んでも、たいした深さじゃない。
せいぜい3mくらいかな。俺は下に尻から落ちて、あたりを見回すと、
うすらぼんやり明るかった。上に、俺が落ちてきた穴が空いてて、
そっから光が射し込んでたんだ。で、思わず息を飲んだよ。
回りがぐるっと、コントロールパネルみたいになってたんだ。
やっぱり子どもの頃に、浄水場の見学に行ったことがあるけど、
あれよりもっと大規模で、ずらずらっと、スイッチみたいなのが並んでたんだ。
それと、中央に、石でできた四角い大きなものがあったんだ。
当時はわからなかたけど、あれは石棺ってやつだと思う。ほら、古墳なんかにある。
でもな、回りのスイッチとか、そんなものが古墳にあるわけがない。

 

354: 本当にあった怖い名無し 2019/11/05(火) 07:29:14.33 ID:1I2udPzu0

上を見たら、斜面はけっこうゆるくて、何とかよじ登れそうだった。気持ちに余裕が
出てきて、ためしに手近にあったスイッチを一つだけ上に上げてみた。
そしたら、ビコンビコンと音が鳴って、赤い色が上のほうで点滅しだしたんだ。
あ、これはヤバイ、そう思って逃げることにした。斜面に四つん這いになって、
滑るけどなんとか登ってったんだよ。ああ、時間はかかったが、
穴の縁までたどり着き、手をかけて外に出たんだ。上から見下ろすと、
中が真っ赤になってるように見えて、警告音みたいなのもかすかに聞こえてきた。
俺の服は泥だらけになってて、ああ、また怒られるなあと思いながら、
すっかり虫捕りをする気は失せて、家に戻ったんだよ。
まだ早い時間だったから、両親は畑から戻ってきてなくて、ばあさんが猫といっしょに
居眠りをしてた。俺は汚れた服を脱いで洗濯機に放り込んだ。

異変に気がついたのは、夕方になって、母親に呼ばれたときだな。案の定、
俺の泥まみれの服を持って怒ってた。けど、その言葉が変だったんだよ。
「また、こんな◯汚して」・・・この○のところが、息を吸い込みながら、
「ピョゲ」みたいな発音に聞こえたんだ。まあでも、そのときは、怒りのあまり
発音が変になってるんだろうと思って笑わないでいた。けど・・・
はっきり異変に気がついたのは夕食のときだな。ちょうどテレビで7時のニュースを
やってたんだが、アナウンサーの発音がおかしかった。全部がおかしいわけじゃなくて、
ところどころに、さっきのピョゲとか、ジャコみたいな音が混じるんだ。
それで、「このアナウンサー、変じゃね?」って言ってみた。
でも、家族は普通に聞いてて、姉が「どこが?」って言っただけだったんだよ。
そのときはそれ以上のことはわからなかったんだな。

 

355: 本当にあった怖い名無し 2019/11/05(火) 07:31:16.79 ID:1I2udPzu0

けど、飯を食い終わって、自分の部屋のベッドに寝転んでマンガ読んでたら、
字が変なことに気がついた。見たことのないひらがなが印刷されてたんだ。
いや、何回か前に読んだことがあるマンガで、そのときは変じゃなかった。
どう言えばいかなあ。形はどう見てもひらがななんだけど、学校で習ったもんじゃない
っていうか・・・で、マンガの他のページも見たら、俺の知らないひらがなが3つ
あることがわかった。「に」と「れ」と「つ」だな。
これが入れかわってる。教科書を引っぱり出して見ても同じだった。
で、それ持って、姉の部屋に行っただよ。指で指し示して、
「姉ちゃん、この字、何て読む?」って聞いたら、「ひらがなじゃないの、
何言ってんのよ、ピョゲでしょ」 「おかしいと思わない?」
「ぜんぜん」こんな感じだったんだよ。

それで、わけがわからないながらも、その日は寝た。いやあ、そうだなあ、
これが山の中での出来事と何か関係があるとか、それはまったく考えなかったな。
まあ、子どもだったし、実害があるわけでもないし、1日寝れば、
もとに戻ってるかもしれないと思ったわけ。でも、次の日も同じだった。
3個の字が、書くときも、話すときの発音も前と違ってるというだけ。
俺が話すときは・・・さあ、どうだったんだろうな。自分では
普通にしゃべってたつもりだし、聞き返されたりしたこともなかった。
そこには気がつかなかったなあ。でな、山であの変な機械を見てから、
2日後のことだよ。その日は、朝からばあさんが、猫がいなくなったって探してた。
まあ、あの猫は、夜に外に出てったりしてたから、
そのうち帰ってくるだろうと思ってたんだけどな・・・

 

356: 本当にあった怖い名無し 2019/11/05(火) 07:32:19.98 ID:1I2udPzu0

で、よく晴れた日だったから、もう一度あの山に行ってみようと思ったわけ。
俺が落ちた穴がどうなってるか? 確認したかったし、
もしできるなら、穴にまた入って、秘密を探ってやろうと考えたのよ。
下からは行く道がわからなかったから、こないだと同じように裏山に登って・・・
ところが、どうやってもあの横道が見つからなかった。それで、あの日のように、
いったん頂上に出て、道を見つけようと思ったわけ。
そしたら・・・頂上にある倒木に、大人が2人座ってた。
その人らは田舎では葬式でしか着ない黒い背広の上下で、
顔にでっかいサングラスを掛けてたんだよ。あと、一人が手に、やはり黒い
大きなバッグを持ってたんだ。俺は大人の姿を見て、なんとなくバツが悪くて、
さりげなく下りて行こうとしたら、一人から声をかけられた。

「坊や、道を探してるのかい?」 「い・・・え、そういうわけじゃ」
「隣の山に行ったかい?」 「いえ」 「ふーん、機械触らなかった?」
「いえ」 「変だなあ? 坊やだと思うんだけどなあ」一人がそう言うと、
薄笑いを浮かべながら、「でもね、大丈夫。機械はなんとか直したから。
それと、もしかして、猫探してるんじゃないの?」 「いえ、その」
男はバッグを開け、ぐったりして目をつぶった猫を持ち上げてみせたんだ。
家の猫にそっくりだったけど、垂れ下がった四肢の他に、腹のところに
もう一本足がついてたんだ。「坊や、もう2度とあの山に行かないでくれる。
世界が狂っちゃうから。坊やも、こうはなりたくないだろ。あと、このことは
人に言わないで。まあ、しゃべっても、誰も信じちゃくれないだろうけど」
それから、2人は狂ったように笑い始めたんだよ。

 

[死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?357]
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