4次元の家?
40年近く前、小学1年の時の話。埋立地に住んでてまだ空き地が多かった頃、海の近くの
交差点に1軒の平屋が建った。乗りたての自転車に乗ってよく近所をウロウロし
てたので今でもよく覚えている。まだ建ったばかりで境界に塀もなにもない。
その平屋の家には白い大きな犬がいて、最初は怖かったが、人懐っこく何回も前を通って
相手してるうちに慣れてきて無断で触っていた。
ある日、近くの肉屋で小さな鶏の唐揚げを買って友達と食いながらウロウロしていた。
その平屋の前に来たので犬にもあげていた。すると平屋の右端にある玄関から
メガネを掛けた初老のおばさんが出てきた。俺は開いたドアの中、つまり家の中を見た。
すると家の右端にある玄関の通路の右に部屋があった。おかしい。右に部屋があるとするなら
敷地をはみ出し道路に部屋が有ることになる。
部屋の中はハッキリ見えなかったが何というか、明るい感じで懐かしさ?未来?を感じると言うか、
そこには幸せを感じれそうな別の世界があるような気がした。おばさんは「ハッ」としたような感じで
すぐに玄関ドアを閉めて家の中に戻っていった。
俺はそういう建て方もあるんだな?という変に納得していた。
不思議なことにそれから1年もしないうちに、新築の平屋は取り壊された。
欠陥住宅?だったのかは知らないが犬もオバサンもそれっきりいなくなった。
それから40年空き地のままで、最近新しい平屋がまた建った。
考えるに、例えば店舗を広く見せる場合に鏡を使うことがある。
姿見の鏡が部屋を写し出していたのでは?と思うが、まずその部屋に
ドアが無かった。昼間なのに薄っすらと太陽みたいな白い明かりが漏れていて
なぜか見とれてしまう程だった。鏡に写った部屋ではなく明らかに部屋があった。
あのメガネをかけた初老のオバサンは宇宙人?
1年ぐらいで新築の家を取り壊してそのまま出ていくなんて考えにくい。
俺があの謎の部屋を見てしまったから?なんて思う時がある。
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